カタチあるものは失われる。その儚さが「もの」の魅力でもあるが、
じんわり、ゆっくり年を重ねた「もの」の魅力は、
経年変化による物質的美しさではなく、時間を共にし、
その「もの」と過ごした経験の蓄積、対する想いの蓄積にあると思う。
つくり手が丁寧に木と向き合い、長く使える「もの」を生み出す。
そして使い手が手をかけて「もの」を育てる。
長く、長くつきあうこと。単純だけど難しい。
でもその『カギ』は、つくり手も使い手も持っていると思う。
今後も悩みながらその『カギ』探しを続けて行きたい。
profile
職人 藤崎 均:木工家具職人
日本大学芸術学部卒業後、(株)ヒノキ工芸入社。
国会議事堂 衆議院本会議場改修工事、CASSINA IXY特注家具、
JR九州ソニック内装(木部)製作等に携わる。
2001年渡伊。ミラノに工房を構え、特注家具を製作する傍ら
エンツォ・マーリ氏をはじめとするデザイナーの作品の
プロトタイプの製作を手がける。
2007年、工房を日本に移す。高尾山のお隣『陣馬山』ふもとにて、
自然の豊かさの恩恵を受けながらも、自然の気難しさに翻弄され
日々、木と向き合っています。
店主 東川 裕子:art director
金沢美術工芸大学卒業後、広告デザインに携わり
2001年渡伊。2002年デザイン事務所cerri&associati(milan)入社。
milano saloneのVI計画・サイン計画、valextra VI計画
alnardo pomodoro財団美術館 VI計画・展示設計等を手がける。
イタリアというおおらかな国で過ごした為、日本のハイペースの
仕事からドロップアウト。すっかりダメ人間になり
2007年帰国後もスローペースでデザインワークを続けています。